下肢疾患

全人工膝関節置換術

人工膝関節手術は臨床経験と考え方が非常に大切であります。当院では人工膝関節手術1700例を越える手術経験を持つ、故 松野誠夫北大名誉教授の考え方に基づいて手術を行っています。
すなわち大腿骨下端を脛骨(下腿の骨)軸と垂直に切ること(パラレルカット・テクニック)と靭帯のバランスを調節することを重視しています。この方法で、良好な関節の安定性と可動域(動き)を得てきております。
最近、両膝に高度の変形がある場合、両膝を同時に手術する方法がありますが、特別の場合を除いて、手術の危険性(肺梗塞など)を考慮して当院ではまず片方の手術を行い、半年くらい経過して反対側の膝を手術しています。

 

人工膝関節置換術を検討中の方へ

【 はじめに 】 

人工膝関節置換術について一般的な知識を得るためには、以下のサイトを参考にすることをお勧めいたします。          http://www.hiroba-j.jp/

人工膝関節置換術でどのようなことが得られるか、どのようなときに手術すべきか、一般的な手術手技、術後できること、やってはいけない事、合併症などの客観的な情報を得ることが出来ます。

【 当院では 】

当院では年間3000例以上の手術患者さんがいます。膝の人工関節置換術はもっとも重視されている手術の中の1つです。人工関節置換手術の医師教育のためのラーニングセンターに指定されており、これまでにも、全国からたくさんの医師が見学、学習に訪れています。従って、重症度、手術の難易度に関係なく、すなわち著しい変化のない症例はもちろんのこと、難しいレベルの手術にも術後経過が良好になることを感じていただけます。

また、リハビリについては手術後2週ほどで膝の曲がりも順調で、血栓も生じず平均3-4週で屈曲や歩行が安定することが当院における治療のデータで解っております。入院期間が長くなることは患者さんの負担も多くなりますので、3-4週間で目標を達成できるようにリハビリをしっかり行うことで安定した成績を目指しております。

人工膝関節のリスクを予め知っておき、それらの予防的治療などの対策を取っておく、しっかり説明し、そこに責任を持って治療できるシステムが無くては、人工膝関節による利点は獲得できません。人工膝関節置換術は時間とともに馴染んで満足できる結果になる方法ですが、最初に行う手術が曖昧だと、あとで修正することは非常に困難です。変形の少ない膝に対する人工膝関節手術に求められる技術は深くありません。しかし、困難な症例を経験しているがゆえにベストの成績を得ることが出来る症例も存在します。何事も100%とはいかない現実はありますが、人工膝関節は80%で足りる手術ではありません。我々も100%に近づくべく複数の医師の叡智を集めて毎週、検討会や抄読会を行いトップレベルの知識を吸収しています。

【 当院の人工膝関節置換術について 】

一口に人工膝関節置換術と言っても施設や術者によって、手術方法、人工膝関節の種類、リハビリ、安全に関する考え方などに違いがあります。当院における治療方法は、

A)手術の安全性

B)人工関節手術手技の構築と人工関節の機能

C)手術後の患者教育、経過観察

の3つをテーマに研究しつつその結果を、患者さんに対する治療に還元しています。それぞれの内容と支えるデータの蓄積と発表をご参考にしてくださると理解できると思います。

 

A)安全性の確保のために

①   手術手技を安定させることで手術時間を一定にする。長い手術は感染の危険が増します。

②   感染症を起こさない。感染委員会による適正化システム、手術時のクリーンルーム使用、完全防護術衣の使用によって感染のリスクを減らしています。

③   手術前に体内に感染が存在すると人工膝関節置換術後、膝に感染が飛び火することがあります。当院では抗生剤が効きにくい菌の検出を手術前に行っています。特にこのような菌が鼻腔のなかから検出された場合には、鼻腔内に抗生剤の塗り薬を処方し、除菌してから人工膝関節置換術を行っています。さらに手術の際、通常の抗生剤ではなく、その菌に効果のある抗生剤に変更して手術を行っています。

④   出血を減らす、その結果として輸血率が低い。手術中に関節内に止血剤を入れて出血を予防し、輸血を回避しています。筋、腱への愛護的な処置により術後出血および腫脹を減らしています。

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手術中の写真、完全防備で行う

⑤   術後の合併症である深部血栓症は症状に現れないことが多いですが、報告によると20-50%以上に発生しています。深部静脈血栓症への対応として、標準的な血栓予防策をすべて講じています。それでも微小血栓は生じることがあります。このような状態を見逃さないために、札幌時計台病院循環器科と連携を取っています。血管専門医による深部血栓の検出をエコー、造影CTを用いることによって高い精度で検査を行い、微小な血栓も見逃さないようにしています。見つけた際には血栓に対する溶解の治療方針を専門医の判断で決定しています。その結果、ほぼすべての血栓は消失しております。

⑥   その他の術後の合併症に関しては、特に関節リウマチや糖尿病、元来持っている病気に影響を受けます。合併症が起こっても適切な対応ができることは大切です。当院は関節リウマチなど重度の症例が多いことから合併症を生じる素因を持った患者さんが多い傾向にあります。このように合併症を生じやすい患者さんに対しても適切に対処して解決しております。

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B)人工膝関節の機能

①   人工関節置換術後の膝が正常に近い動きを再現できるかどうかはまだ完全には分かっていません。当院では大阪大学(冨田哲也准教授)との共同研究を行い、術前の変形が正常からかけ離れた症例でも術後の動き(動態と言います)で正常と同じパターンで動くことを証明しており、国際学会でも発表しています。

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術後の屈曲写真

②   術前の膝の屈曲は術後の屈曲に影響します。多くの場合、術後良く曲がる膝にしています。当院で行った症例は退院時100°以下の症例はいません。100°以下の場合には何らかの対処をするからです。正確な屈伸角度の評価で術後平均130°を維持しております。その後リハビリしない場合にはその後悪化することがありますので、意識してリハビリを継続する必要があります。

③   膝の曲げ伸ばしの際(階段昇降など)に安定感がある。屈曲時安定性のある機種を選択していることと手術で内外側、伸屈曲でのバランスを取る手術を行っているので術後もバランスを得やすくなっています

④   術後の経過を確認しなくては我々の行っていることが正しいかどうかは知ることが出来ません。良好で長期経過が安定するためにも、毎週水曜日の人工関節外来にて経過観察をしています

⑤   経過観察を学会で発表し、専門家に評価を受けることで最新の治療を継続する事となっています

C)患者さん、家族に理解いただきたいこと

①   患者さん、家族が手術の内容を十分に理解して手術に臨むことは必要です。すなわち、患者さんが向上心を持つことを医師、看護師、理学療法士などの職員が促します

②   手術後のリハビリを理解して家に帰っても継続することは、入院中のリハビリでの良好な状態を維持するために必須です

③   経過観察に来院して確認する事は人工関節および関節周囲の骨の変化を早期に発見する上で重要です(1年~2年に一度)

 【 当院の治療の根拠について 】

上に挙げた各内容に対する当院の考えは学会でも認識されている内容です

沢山の内容がありますがその中で、日本で発表した文献については以下のようになります

 A)安全性に関して

①   出血対策 術後の輸血に関して

②   手術後の血栓症の予防に関して

③   感染症に対する対策について(当院の特徴)

B)手術手技と関節機能

①   人工膝関節の機種選択について

②   最小侵襲手術について

③   良好なバランス獲得を重視する当院の手技について

④   院内の術者間のばらつきを最小限にする方法に関して

⑤   難治症例の術式について

C)人工関節設置後の経過観察

①   人工関節の動き(動態解析)

②   屈曲伸展の改善について

③   人工関節の術後経過観察について

④   機能に関与する因子の検討について

⑤   手術後のリハビリと筋力評価について

D)ナビゲーションシステムについて

E)その他

 

 A-① 出血対策

・鈴木孝治

当院におけるTKA術後回収式自己血の実際.

第18回 日本自己血輸血学会                                  2005年3月4日―5日 久留米

・鈴木孝治 川村大介 三浪三千男 松野誠夫

当院におけるTKA術後回収式自己血輸血.

第109回 北海道整形災害外科学会                       2005年6月25日―26日 札幌

・鈴木孝治 三上 将 川村大介 片山直行 松野誠夫 三浪三千男

当院におけるTKA術後回収式自己血.

第37回 日本人工関節学会                                          2007年2月2日―3日 東京

・鈴木孝治

当院におけるTKA術後回収式自己血の実際.

自己血輸血 18:203―205,2005.

・三上 将 内田 淳 原 則行 鈴木孝治

人工膝関節置換術後の出血対策について―術後回収式自己血輸血とトラネキサム酸関節内注射の比較―.

第134回北海道整形災害外科学会          2018年2月3-4日 札幌

・三上 将 内田 淳 原 則行 鈴木孝治

TKA後の出血対策について―トラネキサム酸関節内注射と術後回収式自己血輸血との比較―.

第48回日本人工関節学会              2018年2月23-24日 東京

・三上 将 内田 淳 原 則行 鈴木孝治

当院の人工膝関節置換術後の出血対策について.

第5回 整形外科病院連携セミナー           2018年10月26日 札幌

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳

TKA後の出血対策について―トラネキサム酸関節内注射と術後回収式自己血輸血との比較―.

日本人工関節学会誌  第48巻 :709-710. 2018.

 

A-② 手術後血栓予防

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫 佐藤勝彦

人工膝関節置換術後の深部静脈血栓症予防に使用したフォンダパリヌクスとエノキサパリンの比較検討.

第41回 日本人工関節学会                                     2011年2月25日―26日 東京

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫 佐藤勝彦

人工膝関節置換術後の深部静脈血栓症予防に使用したエドキサバンの効果~フォンダパリヌクス,エノキサパリンとの比較~.

第42回 日本人工関節学会                                     2012年2月24日―25日 沖縄

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫

人工膝関節置換術後の深部静脈血栓症予防に使用した低用量エドキサバン(15mg/日)の効果.

第43回 日本人工関節学会                                      2013年2月22日―23日 京都

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫 佐藤勝彦

人工膝関節置換術にエドキサバンを使用した症例における深部静脈血栓症の発生率―駆血帯使用時間の違いによる検討―.

第44回 日本人工関節学会                                      2014年2月21日―22日 沖縄

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫 佐藤勝彦

人工膝関節置換術後の深部静脈血栓症予防に使用したフォンダパリヌクスとエノキサパリンの比較検討.

日本人工関節学会誌 41:164―165,2011.

第45回 日本人工関節学会                                      2015年2月27日―28日 福岡

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 松野誠夫 佐藤勝彦(時計台記念病院循環器センター)

駆血帯使用時間の違いが人工膝関節置換術後の深部静脈血栓症発症に与える影響.

日本人工関節学会誌 第45巻:655-656,2015

 

A-③ 感染対策

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

術後感染予防 私はこうしている 人工膝関節置換術後感染例の検討.

第43回 日本人工関節学会 シンポジウム          2013年2月22日―23日 京都

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

アンチバイオグラムによる人工膝関節置換術後感染予防抗菌薬の選択.

第44回 日本人工関節学会                                      2014年2月21日―22日 沖縄

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 清藤直樹 松野誠夫

人工膝関節置換術予定患者におけるMRSAおよびMRSE鼻腔保菌調査について.

第45回 日本人工関節学会                                       2015年2月27日―28日 福岡

・三上 将 渡辺浩彰 原 則行 鈴木孝治

人工膝関節置換術予定患者におけるMRSE,MRSA鼻腔保菌スクリーニングとアンチバイオグラムについて.

第129回 北海道整形災害外科学会                             2015年6月13日―14日 札幌

・三上 将

人工膝関節置換術予定患者におけるMRSE,MRSA鼻腔保菌調査とアンチバイオグラムについて.

第38回 日本骨・関節感染症学会                             2015年7月3日―4日 高松

・三上 将 渡辺浩彰 原 則行 鈴木孝治

人工膝関節置換術予定患者におけるMRSA,MRSE鼻腔保菌調査と保菌riskについての検討.

第43回 日本関節病学会                                 2015年11月5日―6日 札幌

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 清藤直樹 松野誠夫

人工膝関節置換術予定患者におけるMRSAおよびMRSE鼻腔保菌調査について.

日本人工関節学会誌   第45巻:669-670,2015.

・三上 将 渡辺浩彰 原 則行 鈴木孝治

MRSA,MRSE術前鼻腔保菌者に対する人工膝関節置換術後感染予防対策.

第46回 日本人工関節学会                              2016年2月26日―27日 大阪

・三上 将

人工膝関節置換術予定患者におけるMRSAおよびMRSE鼻腔保菌調査とアンチバイオグラムについて.

日本骨・関節感染症学会誌   第29巻:34-36,2016.

・三上  将  渡辺浩彰  原 則行  鈴木孝治

当院における人工膝関節周囲感染予防対策について.

第 4 回 整形外科病院連携セミナー          2016 年 11 月 2 日  札幌

・三上  将

MRSA,MRSE 術前鼻腔保菌例に対する人工膝関節周囲感染予防対策.

第 39 回 日本骨・関節感染症学会        2016 年 7 月 7 日-8 日  岡山

・三上  将  渡辺浩彰  原 則行  鈴木孝治

MRSA および MRSE 術前鼻腔保菌者に対する菌別の人工膝関節周囲感染予防対策について.

第 47 回 日本人工関節学会          2017 年 2 月 24 日―25 日  沖縄

 ・三上  将

メチシリン耐性菌術前鼻腔保菌者に対する人工膝関節周囲感染予防対策について ―MRSA および MRSE 菌別の予防対策-.

第 40 回 日本骨・関節感染症学会       2017 年 6 月 16 日―17 日  東京

・三上  将  渡辺浩彰  原 則行  鈴木孝治

MRSA および MRSE 術前鼻腔保菌者に対する菌別の人工膝関節周囲感染予防対策について.

日本人工関節学会誌  第47巻:209-210. 2017

・三上 将

MRSA,MRSE術前鼻腔保菌者に対する人工膝関節周囲感染予防対策―予防抗菌薬関節内注入について-.

第41回 日本骨・関節感染症学会           2018年7月6-7日 大阪

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳 清藤直樹

メチシリン耐性菌鼻腔保菌者に対する人工膝関節周囲感染予防対策.

第49回 日本人工関節学会             2019年2月15-16日 東京

・三上 将

MRSA,MRSE術前鼻腔保菌者に対する人工膝関節周囲感染予防対策―抗菌薬関節内注入について-.

日本骨・関節感染症学会誌 32:20-23.   2019

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳 清藤直樹 渡辺浩彰

メチシリン耐性菌鼻腔保菌者に対する人工膝関節周囲感染予防対策. 

日本人工関節学会誌 第49巻:161-162.  2019

 ・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳 清藤直樹 渡辺浩彰

人工膝関節置換術における術後感染予防に向けた最新医療.

日本運動器看護学会, 2019年度地区研修会 in 北海道,   2019年7月6日 札幌

・三上 将 鈴木孝治 内田 淳 清藤直樹

人工膝関節置換術時の手術用ヘルメット前面シールドの汚染について.

第50回 日本人工関節学会            2020年2月21-22日 福岡

 

B-① 機種選択

・川村大介 鈴木孝治 三上 将 松野誠夫

人工膝関節置換術の術後可動域―2種類のインプラント間の比較―.

第36回 日本人工関節学会                                           2006年2月3日―4日 京都

・鈴木孝治 原則行 三上 将 川村大介 松野誠夫

TKA耐久性向上のための機種選択―Kinemax Plus, Scorpio―.

第38回 日本人工関節学会 シンポジウム     2008年2月29日―3月1日 沖縄

・鈴木孝治 原 則行 三上 将 川村大介 松野誠夫

Scorpio NRGの特徴と問題点.

第43回 日本人工関節学会 シンポジウム            2013年2月22日―23日 京都

・清藤直樹 鈴木孝治 原 則行 三上 将 内田 淳

PS-TKAとCS-TKAにおける術後膝関節可動域の比較

第49回 日本人工関節学会             2019年2月15日―16日 東京

・清藤直樹 鈴木孝治 原 則行 三上 将 内田 淳

PS-TKAとCS-TKAにおける術後膝関節可動域の比較

日本人工関節学会誌  49 : 379-380, 2019.

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B-② 最小侵襲手術

・松野誠夫

Cross fire TKA MIS vs Conventional MIS―TKA ( in opposition ).

第38回 日本人工関節学会 シンポジウム  2008年2月29日―3月1日 沖縄

・松野誠夫

MIS―TKAは有用か?―Can the use of MIS justify TKA? ―.

骨・関節・靭帯 19(9):785―96,2006.

・松野誠夫

人工膝関節とMinimally invasive surgery (MIS).

今日の整形外科治療指針 医学書院 第6版:774,2010.

 

B-③ バランスを重視する当院の手術手技

・三上 将 鈴木孝治 川村大介 三浪三千男 松野誠夫

Parallel cut TechniqueによるTKA後の屈曲位靭帯バランスの評価

―Epicondylar Viewを用いて―.

第111回 北海道整形災害外科学会                                   2006年6月18日 旭川

・三上 将 鈴木孝治 川村大介 松野誠夫

Parallel Cut Techniqueを用いたTKA後の屈曲位軟部組織バランスの評価.

第37回 日本人工関節学会                                           2007年2月2日―3日 東京

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 三浪三千男 松野誠夫

TKA後の屈曲位靭帯バランスと可動域の関係.

第113回 北海道整形災害外科学会                        2007年6月23日―24日 札幌

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

人工膝関節置換術後の屈曲位靭帯の経時的変化―CR型とPS型の比較―.

第39回 日本人工関節学会                                       2009年2月13日―14日 東京

・鈴木孝治 原 則行 三上 将 川村大介 神成 透 松野誠夫

Scorpio NRG PSの術後成績―Parallel cut techniqueの使用経験―.

第3回 Total Knee Symposium                                   2010年9月4日―5日 東京

・三上 将 鈴木孝治 川村大介 松野誠夫

Parallel Cut Techniqueを用いたTKAにおける大腿骨コンポーネントの回旋設置角度の検討.

日本人工関節学会誌 36:256―257,2006.

・三上 将 鈴木孝治 川村大介 松野誠夫

Parallel Cut Techniqueを用いたTKA後の屈曲位軟部組織バランスの評価.

日本人工関節学会誌 37:406―407,2007.

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

人工膝関節置換術後の屈曲gapの経時的変化の検討.

日本人工関節学会誌 38:390―391,2008.

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

人工膝関節置換術後の屈曲位靭帯バランスの経時的変化―CR型とPS型の比較―.

日本人工関節学会誌 39:324―325,2009.

・鈴木孝治 原 則行 三上 将 川村大介 松野誠夫

Scorpio NRG PS型人工膝関節置換術の短期成績―JDKバランサーを使用したparallel cut法による症例の検討.

日本人工関節学会誌 41:648―649,2011.

・松野誠夫

TKAと手術手技のpitfalls―特にcylinder axisとflexion gapの関連について―.

NRG BOOK stryker infos 2012 Autumn:64―70,2012.

・Suzuki K Hara N Mikami S

Gap Pattern Analysis in TKA With Digital Knee Balancer.

ISTA 28th Annual Congress

                                         2015年9月30日ー10月3日 Vienna, Austria

・鈴木孝治

TKAにおけるGap pattern分析

整形外科病院連携セミナー               2015年10月30日 札幌

・Koji Suzuki, Noriyuki Hara, Susumu Mikami

Gap Pattern Analysis in TKA with Digital Knee Balancer.

Orthopaedic Proceedings 98-B (SUPP)(10):60,2016.

・鈴木孝治

TKA の術中バランス-digital balancer による検討-.

第 12 回 日本 CAOS 研究会             2018 年 3 月 22 日―23 日 大阪

・清藤直樹 鈴木孝治 原 則行 三上 将 内田 淳

TKA術中におけるDigital balancerを用いたGapパターンの解析

第49回 日本人工関節学会              2019年2月15日―16日 東京 

・Naoki Seito, Koji Suzuki, Susumu Mikami, Jun Uchida, Noriyuki Hara

Intraoperative Evaluation of Gap Pattern Using Digital Balancer in Total Knee Arthroplasty

International Society for Technology in Arthroplasty (ISTA) 32nd Annual Congress

第32回 国際人工関節技術会議      2019年10月2日―5日 トロント(カナダ)

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳 清藤直樹

高位脛骨骨切り術後人工膝関節置換術例の軟部組織バランスの経時的変化.

第50回 日本人工関節学会             2020年2月21-22日 福岡

・内田 淳 鈴木孝治 三上 将 清藤直樹 原 則行

人工膝関節置換術後の大腿骨上顆軸撮影法に内側が開大している症例の自然経過.

第50回 日本人工関節学会             2020年2月21-22日 福岡

 

B-④ 術者によるばらつきについて

・川村大介 鈴木孝治 原 則行 三上 将 松野誠夫

人工膝関節置換術後のコンポーネント設置角、下肢アライメントの評価―術者間のバラつきの検討―.

第40回 日本人工関節学会                                      2010年2月26日―27日 沖縄

・川村大介 鈴木孝治 原 則行 三上 将 松野誠夫

人工膝関全置換術後のコンポーネント設置、下肢アライメントの評価―術者間のばらつき検討―.

臨・整・外 46:631―636,2011.

 

B-⑤ 難治例の手術について

・鈴木孝治

関節リウマチの人工関節置換術手術の実際.

第4回 リウマチ画像診断研究会 2003年11月25日 札幌北大病院

・鈴木孝治 原 則行 三上 将 川村大介 松野誠夫

高度外反・屈曲拘縮膝におけるTKA手技の検討.

第4回 Total Knee Symposium                                  2012年1月7日―8日 福岡

・鈴木孝治

高度外反膝に対する機種選択と手術手技の検討.

Scorpio NFG Book 51―54,2012.

・鈴木孝治 原 則行 三上 将 

高度変形膝に対する人工膝関節置換術後.

第46回 日本人工関節学会(教育研修講演)      2016年2月26日―27日 大阪

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳

恒久性膝蓋骨脱臼を合併した変形性膝関節症に対して人工膝関節置換術を施行した1例.

第56回 北海道膝関節研究会              2018年9月1日 札幌

・内田 淳 鈴木孝治 原 則行 三上 将 清藤直樹

高度内反膝TKAにおける伸展と屈曲位の至適ギャップ間張力

―デジタルバランサーの術中計測と術後ストレス撮影の評価-

第49回 日本人工関節学会             2019年2月15-16日 東京

 

C-① 術後の人工関節の動き(動態解析)

・鈴木孝治 原 則行 三上 将 川村大介 松野誠夫

Parallel cut法によるTKA術後alignmentの評価―JDK使用例の検討―.

第40回 日本人工関節学会                                      2010年2月26日―27日 沖縄

・鈴木孝治 原 則行 三上 将

外反変形膝に対するTKA後の動態解析.

第44回 日本人工関節学会                                       2014年2月21日―22日 沖縄

・鈴木孝治 原 則行 三上 将 川村大介 松野誠夫

当院におけるScorpio NRG PS型TKAの動態解析.

日本人工関節学会誌 42:563―564,2012

・鈴木孝治 原 則行 三上 将 松野誠夫 冨田哲也 清水憲政 菅本一臣

外反膝に対しparallelcut法を用いて行ったTKA後の動態解析

第45回 日本人工関節学会                                       2015年2月27日―28日 福岡 

 

C-② 膝の曲がりに関して

・川村大介 鈴木孝治 松野誠夫

人工膝関節置換術の術後関節可動域の評価.

第35回 日本人工関節学会                                           2005年2月3日―4日 沖縄

・川村大介 鈴木孝治 三上 将 三浪三千男 松野誠夫

人工膝関節置換術の術後関節可動域の評価.

第109回 北海道整形災害外科学会                        2005年6月25日―26日 札幌

・川村大介 鈴木孝治 三上将 三浪三千男 松野誠夫

人工膝関節置換術の術後関節可動域の評価.

第34回 リウマチの外科研究会                                            2005年8月27日 東京

・川村大介 鈴木孝治 三上 将 松野誠夫

人工膝関節置換術の術後関節可動域―2種類のインプラント間の比較―.

第111回 北海道整形災害外科学会                                      2006年6月18日 旭川

・川村大介 鈴木孝治 三上 将 三浪三千男 松野誠夫

人工膝関節置換術の術後膝蓋骨の高さと膝屈曲角との関係.

第37回 日本人工関節学会                                           2007年2月2日―3日 東京

・川村大介 鈴木孝治 原 則行 三上 将 川村五郎 松野誠夫

人工膝関節置換術後のフォンダパリヌクスの使用による膝屈曲角の変化―血液データとの比較―.

第39回 日本人工関節学会                                      2009年2月13日―14日 東京

・川村大介 鈴木孝治 原 則行 三上 将 松野誠夫

人工膝関全置換術後の膝蓋骨の高さが術後屈曲角に及ぼす影響.

臨・整・外 47:737―742,2011.

・清藤直樹 鈴木孝治 三上 将 内田 淳 原 則行

CS-TKAにおけるPEインサートの厚さが膝関節可動域に与える影響

第50回 日本人工関節学会            2020年2月21日―22日 福岡

・清藤直樹 鈴木孝治 三上 将 内田 淳 原 則行

CS-TKAにおけるPEインサートの厚さが膝関節可動域に与える影響

日本人工関節学会誌 (in press)

 

C-③ 人工膝関節の術後経過に関して

・川村大介 鈴木孝治 原 則行 三上 将 松野誠夫

後方安定型人工膝関節置換術の術後屈曲角―変形性膝関節症および関節リウマチにおける検討―.

第38回 日本人工関節学会                                2008年2月29日―3月1日 沖縄

・川村大介 鈴木孝治 三上 将 三浪三千男 松野誠夫

人工膝関節置換術後の術後関節可動域.

臨・整・外 42:1071―1077,2007.

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

膝蓋骨置換術後のコンポーネントの非被覆部の骨形成について.

日本人工関節学会誌 42:71―72,2012.

 

C-④ 手術後の膝関節機能に関与する因子

・川村大介 鈴木孝治 葛城良成 松井嘉男 三浪三千男 松野誠夫

人工膝関節置換術における下肢機能軸と膝蓋大腿関節との関係.

第34回 日本人工関節学会                                      2004年1月30日―31日 千葉

・川村大介 鈴木孝治 三上 将 三浪三千男 松野誠夫

人工膝関節置換術における下肢機能軸と膝蓋大腿関節との関係.

第109回 北海道整形災害外科学会                        2005年6月25日―26日 札幌

・三上 将 鈴木孝治 川村大介 三浪三千男 松野誠夫

Parallel cut Techniqueを用いたTKAにおける大腿骨componentの回旋設置角度と膝蓋骨trackingの検討.

第110回 北海道整形災害外科学会                        2006年1月28日―29日 札幌

・三上 将 鈴木孝治 川村大介 三浪三千男 松野誠夫

Parallel Cut Techniqueを用いたTKAにおける大腿骨componentの回旋設置角度と膝蓋骨trackingの検討.

第36回 日本人工関節学会                                           2006年2月3日―4日 京都

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

人工膝関節置換術後の屈曲gapの経時的変化の検討.

第38回 日本人工関節学会                                2008年2月29日―3月1日 沖縄

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

人工膝置換術における膝蓋骨trackingの術中評価の検討.

第40回 日本人工関節学会                                      2010年2月26日―27日 沖縄

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

TKAにおける膝蓋骨置換について.

第3回 Total Knee Symposium                                  2010年9月4日―5日 東京

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

人工膝関節置換術後の膝蓋骨trackingの経時的変化.

第41回 日本人工関節学会                                      2011年2月25日―26日 東京

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

TKAにおけるPF関節の諸問題 膝蓋骨置換後のコンポーネント非被覆部の骨形成について.

第42回 日本人工関節学会 シンポジウム          2012年2月24日―25日 沖縄

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

TKAにおける膝蓋骨置換後のコンポーネント非被覆部の骨形成の検討.

第123回 北海道整形災害外科学会                             2012年7月7日―8日 札幌

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

人工膝関節置換術後における膝蓋骨trackingの術中評価の検討.

日本人工関節学会誌 40:598―599,2010.

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 川村大介 松野誠夫

人工膝関節置換術後の膝蓋骨trackingの継時的変化.

日本人工関節学会誌 41:556―557,2011.

 

C-⑤ 手術後のリハビリと筋力回復

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫 神成 透

人工膝関節置換術前後における筋パワー(初期の筋力増加率)の変化.

第39回 日本人工関節学会                                      2009年2月13日―14日 東京

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫 神成 透

女性・OA膝に対しての人工膝関節置換術前後における筋活動の推移

~midvastus法とmedial parapatellar法の比較~.

第40回 日本人工関節学会                                      2010年2月26日―27日 沖縄

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫 神成 透

人工膝関節置換術前後における筋パワー(初期の筋力増加率)の変化.

日本人工関節学会誌 39:494―495,2009.

・原 則行 鈴木孝治 三上 将 川村大介 松野誠夫 神成 透

女性・OA膝に対しての人工膝関節置換術前後における筋活動の推移

~midvastus法とmedial parapatellar法との比較~.

日本人工関節学会誌 40:318―319,2010.

 

D) ナビゲーションシステムについて

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳 清藤直樹

ナビゲーション使用・非使用人工膝単顆置換術例の比較検討.

第49回 日本人工関節学会             2019年2月15-16日 東京

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳 清藤直樹

ナビゲーション使用・非使用UKA例の比較検討.

第137回  北海道整形災害外科学会         2019年6月22-23日 札幌

・三上 将 鈴木孝治 原 則行 内田 淳 清藤直樹

ナビゲーション使用・非使用人工膝単顆置換術例の比較検討.

日本人工関節学会誌  第49巻 :623-624,  2019.

 

E) その他

・鈴木孝治  原 則行  三上 将  川村大介

Up to Date 「当院における人工膝関節置換術の臨床研究」.

第 54 回 北海道膝関節研究会              2016 年 9 月 3 日 札幌 

・内田 淳 鈴木孝治 原 則行 三上 将

人工膝関節全置換術後の大腿骨顆上骨折の治療経験.

第48回 日本人工関節学会             2018年2月23-24日 東京

 ・三上 将

人工膝関節置換術 ― 今(いま)、昔(むかし)-.

第7回 北海道慢性疼痛を考える会           2019年9月28日 札幌

 

 これらの蓄積が患者さん一人一人に最大の結果をもたらすであろうと信じて治療、研究をいたしております。人工膝関節をお考えの方は一度、当院の治療体系をご確認いただき判断しても遅くないかと思います

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「人工膝関節の日」について

当院の人工膝関節置換術の成績は長持ちする(10年生存率99%)、合併症が少ない(感染0.3%以下、輸血不要率が99.5%)など他の医療機関と比較して非常に良好で、学会でも高い評価を受けています(令和2年2月の日本人工関節学会では、当院から人工膝関節に関して5演題の報告をしています)。

このように、良好な経過をたどるためには、医師が人工関節に関する十分な知識と技量を持ち合わせて手術することと同時に、人工関節の経過観察が必要です。(最低1年1回)。

当院では毎週火~木曜日午後を「人工膝関節の日」と決め、経過観察を中心として診察いたします。複数枚のレントゲンを撮影するため時間が必要であり、午後1時から午後3時の受付を原則とします。平日の午前に来るよりもレントゲン撮影などはスムーズに進みますので、待ち時間も短縮されると想像されます。是非、この時間をご利用下さい。尚、担当医師は曜日によって異なります。
希望の医師の出ている日時をご確認ください。
他院で行われた手術の場合、術者でなくてはわからないこともありますが、この時間に受診頂ければ診察致します。

北海道整形外科記念病院 人工膝関節センター

一般的な人工膝関節に対する考え方

kashi03人工膝関節手術にとって体重が伝わる下肢機能軸(股の中心と足首の中心を結ぶ軸)の通過する位置はもっとも重要です。
この下肢機能軸が膝の中心からずれてしまうと人工関節に異常な力が加わり、短期には問題はないのですが長期的に見ると人工関節はゆるむ可能性が高くなります。
ゆるみのない人工関節にするためには下肢機能軸が膝の真ん中を通るように手術することが必要条件です。
当院では常に下肢全長写真で術前、術後評価しています。
術前写真でどのように手術すべきかを十分検討することが必要です。最近の症例の評価でも、術後の写真を検討すると、ほとんどすべての症例でこの下肢機能軸が膝の中心を通過していることが示されました。関節以外での変形が著しい場合にはコンピュータの助けを利用するナビゲーションを用いて行なうことにしています。

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入院後の治療のながれ

1.手術の数日前に入院していただき、術前に筋力、関節の動きの評価を行います。理学療法を開始いたします。
2.詳しいレントゲン写真を撮ります。
3.麻酔科の診察があります。
4.手術は全身麻酔で術後の痛みを可能な限り取り除くために、静脈内持続鎮痛法と長時間作用性局所麻酔剤を手術部位に注射することを行います。手術時間は約1時間30分~2時間です。手術中に関節内に止血剤を入れて出血を予防します。以前は術後から膝の中に血が貯まらないように血抜きの管を入れていましたが、現在は入れていません。
5.膝の安静のため膝装具を使用します。
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6.術後3日目から自動的に膝を曲げる器械(CPM)を用いてリハビリが始まります。

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7.同時に立つ練習、歩く練習が病棟、リハビリ室で始まります。専属のリハビリスタッフが術後のリハビリを手伝ってくれます。
8.レントゲン写真は定期的に撮影し評価していきます。
9.術後4週間で膝がどのくらい曲がるのかをレントゲン写真で確認します。
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10.術後4~5週間で退院となります。
11.その後は定期的に経過を見ていきます。人工関節も器械ですから、必ず定期的に病院で診察を受けて下さい。

人工膝関節にすることによって

  1. 痛みをとる効果が著しく、長距離歩行が可能となる。
  2. 膝の変形が矯正される。

人工膝関節の問題

  1. 感染:当院ではバイオクリーンルームという非常に清潔な手術室で行っており、また手術中には特殊な洗浄装置を使っているため、感染を起こす症例はほとんどいません。しかし人工関節は細菌に非常に弱いため、十分な注意が必要です。手術前に体内に抗生剤が効きにくい菌をもっていないか、鼻腔内の菌を検査しています。そのような菌があれば、手術前に除菌してから手術を行っています。当院では手術後の感染の発生をおさえるため、様々な取り組みを行っています。
  2. ゆるみ:人工関節を行っていく上で避けて通れない問題です。われわれは手術により膝の変形を治し、体重の軸が関節の中心を通るようにすることにより人工関節にかかる負担は軽減されると考えます。
  3. 関節の動きの制限:最近、人工関節のデザインの改良、手術手技の工夫などにより以前に比べ、関節の動きは良くなってきています。人工膝関節後に正座ができるようになるということを宣伝している病院もあります。しかし、それに対する長期成績は今のところ出ておらず、当院ではしゃがみこみは許可しておりますが、正座は勧めておりません。
  4. 深部静脈血栓、脂肪塞栓による肺梗塞の危険性:日本人も欧米スタイルの生活習慣になってきており、それに伴い危険性は以前に比べ高くなってきておりますが、その発生率はきわめて低いと思われます。当院では平成16年4月に厚生労働省の方から出された予防の指針を遵守しております。
  5. 輸血:手術中に関節内に止血剤を入れて出血を予防し、なるべく同種輸血(他人からの輸血)をしない方針です。

人工膝関節置換術をされる本人及びご家族の方へ

当院で人工膝関節置換術を行なうにあたり、人工膝関節に対するコンセプト(考え方)を理解していただこうと思います。

人工膝関節置換術は
・痛みがない
・歩行距離が伸びる
・下肢変形(曲がっている、伸びないなど)が矯正される
・膝の筋力が増す
・膝の安定性が増す

などの目的で行い、当院で手術する多くの症例でこの目的は達成されております。

 しかし
・立て膝が出来ない
・しゃがみこみ(蹲踞)が出来ない

などの不便さを聞くこともあります。

さて、手術は、臨床経験と考え方が非常に大切であります。術式については当院では人工膝関節置換術1700例を超える手術経験を持つ、松野誠夫北大名誉教授のコンセプト(考え方)に基づいて行なっておりますが、いくつかの点で当院が他院に追随を許さない独自の方法を用いております。
また、「人工膝関節置換術-基礎と臨床-」という本が松野誠夫名誉教授の執筆で平成17年8月に発刊されます。人工関節のバイブルとして多くの人工関節外科医の教科書となるものと思われます。
これらの事情からもわかるように、大学教授を始め日本でも有数の人工関節外科医(徳島大学、京都府立大学、大阪大学、名古屋大学、横浜市立大学、筑波大学、東京医科歯科大学、東邦大学、日本大学、昭和大学、北大、札幌医科大学、旭川医科大学など)が、当院に手術見学、研修に来ております。

また、人工関節の研修センターとして多くの医師が当院を訪れており、交流しています。多くの施設でも当院の方法を参考にしていることは事実です。当院の人工膝関節施行症例数は全国的にみても多く、新聞や看板などの広告をほとんどしていませんが、受診する患者さんは年々増加の一途をたどっております。
しかし、すべての方に良好な成績を得て満足していただく、日常生活制限を最小限にして生活の質を向上していただくには、術式のほかに、術後評価、術後看護、およびリハビリテーションと同時に本人の努力が非常に大切です。
術後評価としては、術直後、1週目、2週目、4週目とすべて異なる目的でレントゲン写真を撮影し、コンピューター断層(CT)撮影とともに評価しております。これら、および筋力測定に基づき退院前に日常生活制限を設定することもあります。

長期にわたって人工関節を問題なく使うためには、大切に使うことが、無理なく使うことが大切だからです。したがって当院の考え方として以下のように決めておりますのでご理解ください。

1.正座を求めるものではありません
2.入院中には可能な限り最大の屈曲、筋力訓練をします
3.しゃがみこみは頑張り次第で許可します
4.立て膝は必要最低限にしていただきます
5.人工関節に問題が生じても初期には症状が出ません

手術後は指示に従い定期的に検診を受けてください
病棟看護師、理学療法士も工夫をして術後看護、リハビリに協力してまいります。より良い機能的な人工関節を目指し一緒に頑張っていきましょう。

前十字靭帯再建術

前十字靭帯再建術は主に移植する腱によって手術方法が変わります。日本では、膝を曲げる筋肉である「ハムストリング」を移植腱にする方法と、お皿の骨の下にある膝蓋腱を骨付きで移植腱とする「骨付き膝蓋腱」による方法が選択されます。
また、1本の移植腱で前十字靭帯を再建する方法や2本の移植腱で再建する方法などがあります。
当院では「ハムストリング」を用いて、もともとある前十字靭帯にできる限り近い靭帯を再現できる「2重束前十字靭帯再建術」を行っています。
手術は直径4㎜の関節鏡を挿入する傷が3つ、移植腱(ハムストリング)を採取し、その腱を挿入するための3㎝の傷がひとつ、合計4つの小さな傷で手術が可能です。

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膝関節鏡手術

半月板損傷の手術的治療では関節鏡下手術が行われます。関節鏡は膝の前面に小さな傷をつけるだけで手術ができます。
関節鏡システム
以下のような最新の器械を使用して手術を行います。手術はテレビモニターを見ながら、悪い部分を処置していきます。関節鏡視下手術には、切れた半月板を削る半月板切除術と半月板を縫う半月板縫合術があります。

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半月板切除術

kashi08手術用の際に切開する場所です。

 

 

 

 

 

kashi09これを専用のハサミで削ります。

 

 

 

 

 

kashi010半月板切除術後です。

半月板縫合術

半月板の血流の良い部分での縫合では成績が良いと言われています。血流の悪いところでの成績は悪いため適応が限られます。

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高位脛骨骨切り術 (HTO手術)

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hto_operation-1
中程度から高度の変形がある場合で患者さんが比較的若い50歳から60歳代の方に行うことが多いです。
膝のO脚(内反変形)が強い方に適応があります。図のように内反変形が強い方は下肢の体重の軸が膝の内側に来てしまいます。
この状態を放置しておくと変形がとくに強く起こっている膝内側の部分をどんどん傷めてしまいます。
HTOは脛骨を上の方で切ることにより内反変形を治す方法です。
当院ではOpen Wedge HTOという方法を積極的に行っております。
高位脛骨骨切り術について、詳しく知りたい方は以下のサイトをご覧ください。
http://hiza-itami.jp/hto/

膝前十字靭帯損傷(ACL損傷)

膝関節の中にある前十字靭帯(通称:ACL)は膝関節の安定性に非常に重要な役割を果たしています。ACL損傷は自然治癒が見込めません。受傷から時間が経つと炎症が引いて腫れや痛みは良くなりますが、靭帯は緩んだままです。膝が不安定なまま放置すると、膝崩れを起こして軟骨や半月板など大事な組織が傷んで膝がボロボロになってしまう恐れがあります。一般的には、靭帯再建術とリハビリで治療します。

*例外として、ご高齢の方・スポーツや労働をしない活動性の低い方などは手術をしない場合もあります。

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MRI

正常
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ACL損傷
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黄色矢印がACL。左が正常ACLで、右が断裂したACL。

受傷原因

スポーツによる受傷が多いですが、重労働などの作業中になることもあります。

非接触型: サッカー、バスケットボール、スキーなどで転倒・方向転換・着地の際に膝を強く捻り、膝関節がズレた感じになり損傷します。
接触型  : ラグビーやアメフトなどのコリジョンスポーツで膝周辺にタックルを受けるなど直接外力が加わり損傷します。 女子ではバスケットボールやバレーボール、男子ではサッカーやラグビーなどでの受傷が多いです。北海道は雪国なのでスキー、スノーボード、アイスホッケーでの受傷も多いです。他には格闘技や体を使う仕事で受傷する人も少なくありません。特に若い世代のスポーツ活動においては、ケガを予防するために指導者らの啓蒙活動の重要性が認識されてきています。

症状

受傷直後: スポーツ動作でのストップや、方向転換で踏み込んだ時、着地した時に、膝が強くズレた感じや、「ガクッ、ゴキッ」などの衝撃を感じることが多いです。 転倒してしばらくは膝を抱え動けないほどですが、その後は歩行が可能になることもあります。数時間のうちに関節内出血や炎症による腫れが出現してきますので、クーリングなど応急処置をすることが望ましいです。
その後  : 2~3週程度で腫れや痛みが落ち着き、日常生活はあまり困らないようになります。しかし、踏ん張って身体を支えたり、段差を降りる時や着地時、ストップ動作には怖さが残ります。膝の不安定性を放置したままスポーツをすると膝がズレて亜脱臼(膝崩れ)が起こり、軟骨や半月板など大事な組織が傷んでしまいます。半月板や軟骨は修復能力に乏しく、膝がボロボロになってしまう恐れがあります。膝の痛み・変形・可動域制限など機能障害を生じ、変形性膝関節症になってしまいます。

治療

時期を見て靭帯再建術が必要です。専門医の正しい診断のもと適切なリハビリ(筋トレや関節の動きを良くする可動域訓練)が必要です。膝の動きが良くなってきたら適切な時期に靭帯再建術をします。術後もリハビリが重要です。

術前リハビリ

ケガをすると膝の可動域(曲げ伸ばしの動き)が悪くなったり、膝周辺の筋萎縮(筋肉がやせてくる)が生じます。適切なリハビリテーションを行い、その影響を最小限に抑えるようにします。通常3~4週ほどで膝の可動域はかなり改善し、日常生活も問題なく出来るようになります。手術前の状態が悪ければ術後の回復も順調に進みませんので、専門医が評価をして手術ができる状態まで回復したことを確認します。

この間に膝装具を処方しますが、これは術後3か月くらいまで使用します。

適切なリハビリテーションを行えばケガをしてから早くて3~4週すれば手術が可能となりますが、具体的な手術日は仕事や学校の都合も考慮して主治医と相談して決定します。前十字靭帯だけの再建術であれば、2週間くらいの入院で、その後はリハビリ通院になります。

 

手術:前十字靭帯再建術

腱の採取・移植腱の作成
スネの前内側の皮膚を数cm切開し、膝屈筋腱(1~2本)を採取します。
腱を折りたたみ、人工靭帯と連結して移植腱を作成します。
骨孔の作成
膝の前に内外2か所、数mmずつの切開をして関節鏡や手術器具の出し入れができるようにします。関節鏡を見ながらスネの骨(脛骨)と太ももの骨(大腿骨)にトンネル(骨孔)を掘ります。
移植・固定
移植腱をトンネル内に通して、骨に固定します。移植腱の張力を整えた後に、大腿骨側はエンドボタン、脛骨側はステープルという金属で骨に固定します。

解剖学的2束再建術/1束再建術

前十字靭帯は前内側線維束(AMB)と後外側線維束(PLB)の2つの線維からなり、この2つの線維は膝の角度によって相互に機能を分担していることがわかっています。より生体に近い靱帯を再建するために、当院ではこの2つの線維を各々再建しています。
膝屈筋腱(半腱様筋腱、薄筋腱)を使用していますが、採取した腱のサイズが移植腱を2本作るために十分な長さと太さを確保できない場合や、小さい膝のために至適位置に骨孔を2つ作成できない場合は、従来通り1束再建術をしています。

 

術後レントゲン写真

2束再建術
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1束再建術
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関節鏡の画像

断裂したACL
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2束再建術後
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2本の移植腱
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骨付き膝蓋腱(BTB)による1束再建術

膝蓋腱とは膝蓋骨(お皿の骨)と脛骨(スネの骨)を結ぶ腱ですが、それを部分的に骨付きで採取して移植腱として使用することもあります。骨付き膝蓋腱はとても丈夫で骨同士の癒合による固定が得られるなどの利点があります。ただ、比較的キズや侵襲が大きいこと、採取した部位に痛みが残り膝をつく動作がやりにくいことがあります。
当科では基本的に膝屈筋腱の使用を第一選択としていますが、状況に応じて本法を選択する場合もあります。

術後リハビリ

術翌日から体調に合わせて徐々にリハビリテーションを開始します。はじめは筋 トレ・膝の曲げ伸ばし(可動域訓練)・歩行訓練などが主体となります。歩行や階段昇降などといった日常生活動作は、退院する術後2週間ころにはほとんどの人で可能となります。術後約3か月でジョギングなどの軽い運動を許可します。競技の種類やレベルにもよりますが、術後半年~1年でスポーツ復帰となります。
移植した腱が術後すぐに靭帯になるのではなく、一旦組織が壊死してその後に細胞が入り込んできて新しく靭帯に生まれかわるため、十分な靭帯強度が得られるには長期間を要し、スポーツ復帰までにはそれ相応の時間が必要です。復帰を急ぐあまり過度に加速したリハビリテーションはむしろ有害であるため、焦らずきちんとプロトコルに沿ってやっていくことが重要です。術後3か月位は膝装具を使用します。

半月板損傷・軟骨損傷などの合併損傷に対して処置を追加した場合、その程度や処置の内容によっては、可動域訓練や歩行訓練を数週間遅らせるなど調整が必要になることがあります。

手術に伴うリスク・合併症

出血:術中は大腿部で駆血して手術をするので、術中の出血はほとんどありません。術後出血もそれほど多くはないのですが、膝に血が溜まりすぎないように血抜きのチューブ(ドレーン)を入れておきます。これは術後早期に抜去します。輸血は通常は必要ありません。
感染:一般的に発生率は約1%と言われています。術前後に抗生剤を予防投与するなど対策を講じています。万が一感染した場合は、再手術にて洗浄・滑膜切除・持続洗浄処置をします。ほとんどの場合はこれで治りますが、もし治らない場合は移植腱を抜去したり長期間の抗生剤投与が必要になることがあります。治療に非常に難渋するので予防や早期発見が大事です。
創部の知覚異常:腱を採取するための皮膚切開周辺の感覚が鈍くなったりしびれたりすることが少なからずあります。時間の経過とともに徐々に改善していきますし、困ることはまずありません。
深部静脈血栓症:術後に動かないでだまって寝ていると、下肢の静脈に血の塊(血栓)ができることがあります。非常にまれですが、肺の血管を詰まらせると肺塞栓症という救急処置が必要な致命的な合併症も報告されています。一般的にはエコノミークラス症候群として知られています。術後は早期にリハビリを開始しますし、血栓ができにくいような予防策も講じています。
関節水腫:術後にしばらく膝に水が溜まることがあります。状況に応じて水を抜いたり注射をしたりすることがありますが、時間とともに自然に良くなっていくことがほとんどです。
膝関節可動域制限:全可動域(もともとの完全伸展~深屈曲)を獲得するようにリハビリをします。無理なリハビリは禁物ですが、適切なリハビリをしないと関節の硬さが残り支障をきたすことがあります。
骨孔拡大:過度に加速したリハビリによって、骨に掘ったトンネル(骨孔)が広がってしまうことがあり、靭帯にゆるみが生じます。中高年の方の場合は骨密度や骨質の低下が原因で生じることもあります。
再断裂:リハビリや競技復帰を無理に急ぎすぎると、靭帯が再断裂することがあります。再手術では別の場所から自家腱を採取せねばならないこと、骨孔拡大や骨孔位置が不適切な場合は、自家骨移植が必要になることがあり、初回よりも手技的に困難で治療期間も長期化することがあります。

Q&A

Q: 膝前十字靱帯損傷のあと時間がたったら痛みがなくなりました。このまま手術を受けなくてもいいのでしょうか? 再建術をしない場合のデメリットはありますか?
A: ケガをしてから2~3週間もすれば腫れや痛みが落ち着き、日常生活はあまり困ら ないようになります。治ったのではないかと勘違いしてしまう方もいますが、それは 炎症が引いてきただけであって、膝の不安定性(前十時靭帯不全の状態)は残りま す。自然治癒が望めないケガなのです。
膝の不安定性を放置したままスポーツを続けると膝崩れを繰り返し、軟骨や半月板など大事な組織が傷んで、膝がボロボロになって取り返しがつかない状態になってしまうこともあります。この膝の不安定性は筋力だけではカバーしきれないので、元の活動レベルに復帰するためには手術を推奨します。
スポーツをしない日常生活だけ行えれば良いという人もなかにはいらっしゃいますが、そのような方でも日常生活の中で膝崩れを起こして半月板・軟骨損傷を起こすリスクはあります。踏ん張って身体を支えたり、段差を降りる時や着地時、急に止まる動作や方向転換などでは、膝の不安定感やズレるような怖さを自覚することが多いです。例外として、ご高齢の方・スポーツや労働をしない活動性の低い方などは手術をしない場合もありますので、細かい点は主治医と相談してください。
Q: 入院期間や治療期間は? 
A: 前十字靭帯再建術だけであれば約2週間です。そのころには手術のキズは治って いて、歩行や階段昇降などといった日常の動作も可能になっていることがほとんどです。
退院後は通院リハビリをします(詳細は術後リハビリの項目をご覧ください)。
半月板損傷・軟骨損傷などの合併損傷に対して処置を追加した場合、その程度や処置の内容によっては、可動域訓練や歩行訓練を数週間遅らせるなど調整が必要になることがあります。キズが治っていて、なおかつ通院リハビリが無理なくできる状況なら退院可能ですが、状況に応じて入院期間を延長することもできます。

金属抜去の手術について

通常は術後1年以降で、脛骨に固定したステープルという金属を抜く処置と、関節鏡で再建靭帯・軟骨・半月板の状態を確認しています。入院期間は数日です。膝の状態やご本人の都合(仕事・学校・スポーツ活動など)によって時期を調整することもあります。外来で主治医と相談して決めています。

金属抜去後レントゲン写真

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 脛骨に固定した金属(ステープル)が抜去されています。
再建靱帯がきちんと生着しています。

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