脊椎疾患

頸椎の手術療法

手術は、頚の前側を水平にまたは斜めに切開して頚椎に到達する前方法と、後方の中心線の縦切開を用いる後方法があります。

頸椎の手術(前方法)

前方法は、椎体・椎間板を前面から一部切除しながら脊髄・神経根など神経の圧迫原因に到達しこれらを取り除きます(前方除圧)。
この圧迫原因により、椎間板ヘルニアの摘出、頚椎症骨棘の切除、骨化した後縦靭帯の切除を行います。次に、切除によりあいた椎体・椎間板の空間に骨を移植して固定します(前方固定)。当院での前方法は、国分法という方法であり、移植する骨は腸骨を採取し調達し、頚椎に移植し固定をするというものです。
腸骨とは骨盤の骨であり、スラックスやスカートのベルトを落ちないように支える、いわゆる「腰骨」のことです。
骨の採取部位は、スラックス等の前ポケットの直上あたりで、手術後ベルトが当たって痛くないように骨の採取部位には凹みができないようにセラミック製の人工骨をはめ込みます。

前方法の後療法

手術後は植えた骨がずれて外れてこないように、4から8週間支柱つきのカラーをつけます。行動の拡大については、手術翌日からカラーをつけて起き、歩行します。カラーは4~8週間つけます。通常はカラーが外れたら退院します。術後定期的に外来でレントゲンをとり、骨の癒合状態をチェックします。重労働・スポーツは3ヶ月後位から可能です。

頸椎の手術(後方法)

後方法には脊髄を除圧する方法と、神経根を除圧する方法とがあります。前者は脊柱管拡大術(椎弓形成術)といい、脊髄の後方から覆っている骨(椎弓)の形態を変え脊髄の通り道である脊柱管を拡大する方法です。後者は、椎間孔部開放術(内側椎間関節切除術)といい、神経根が通る横穴(椎間孔)を後方から一部切除し拡げる手術です。

椎弓形成術

椎弓はアーチ状に脊髄を後方から覆う骨ですが、この椎弓を左右に観音開きする2枚のドアに見立てて開く手術です。通常は第2頚椎もしくは第3頚椎から第6ないし第7頚椎までの範囲に行います。後方の皮膚の中心線を縦に切開後、頚の後ろの筋肉を左右にはがし、椎弓を露出します。次に棘突起を切除します。
次に椎弓の正中部(中心線)をドリル(歯医者さんで使うドリルのようなものです)で縦に削って薄くし、左右に切離します(左右の連続性を絶ちます)。次に、ドリルで椎弓の左右の最外側部を縦に削って溝を掘ることにより薄くします。するとこの部位はドアのヒンジに相当し、しなるようになり椎弓は2枚のドアとして左右に開くことができます。
頚椎は前弯ですので、その中の脊髄も前弯ですが、椎弓を開くと脊柱管内で圧迫されていた脊髄は、弾力性があるので、最短コースをとるために直線化して後方に移動し前方の圧迫原因から逃れられます。
開いた椎弓は側面の筋肉に縫合し開いた状態を維持します。第2頚椎と第7頚椎は、棘突起が大きく切除しないほうがいいとも言われていますので、椎弓の一部を削るにとどめ、温存するようにしています。

椎弓形成術の後療法

当院の後方法では、手術では頚椎の支持性(強さ)に影響する部分は切除したりする操作をしませんので、基本的には手術後頚椎がグラグラに不安定になることはありません。したがって、手術後はカラーをつけないでもかまいません。通常は、手術後翌日に起きて、歩行を開始します。この際カラーはつけないことのほうが多いです。
カラーは食事をとる時など、頚椎に前屈が必要なときにのみつけます。前屈時は頚椎後方の筋肉に自動的に筋収縮が起きますので痛みが出るからです。期間は1週間程度です。
後方手術では、後方の筋肉を手術時に多少はがして最後に縫い合わせますので手術直後は後頚部痛が生じます。この際後方の筋肉に力が入らなければ痛くありませんので、頚椎のよい姿勢をとることが重要なポイントになります。当院では専門のリハビリスタッフが、この点を中心に指導し、後頚部痛の軽減に努め、よい成績が得られています。後方手術ではカラーを最低3週間から2ヶ月間つける施設が多いのが現状です。しかし、カラーを長期間装着すると頚部の筋肉がやせて筋力不足になりますので、カラーをはずしてから後頚部痛が長期間残り、しかも苦痛を伴うことが多く問題になっています。当院ではこの点に1990年から注目し、カラー装着を省略し、術翌日からの歩行としています。この結果、頚部痛は全国の他の施設に少なくとも劣らないほど発生が少なくなっています。

カラーは基本的に不要なので、約10日から2週間で抜糸したら退院できます。手術前の検査期間も含め、退院まで14日間の場合もあります。
椎弓形成術では開いた椎弓は基部(ドアのヒンジにあたる)は薄く弱くなっていますので、この部位が丈夫になるまで術後3ヶ月間は極端な頚椎の前屈は避けていただきますが、退院後、通常の日常生活が可能です。

椎間孔拡大術

後方の中心線を切開し、後方の筋肉は症状のある側のみ骨からはがし、椎弓と、その外側にある椎間関節の一部を露出させ、神経根に沿って椎間孔部の内壁を削っていき、神経根を脊髄からの分岐部に始まり頚椎の出口(椎間孔部の最外側)に至るまで十分に除圧する方法です。
頚椎の支持性に関与する椎間関節を一部削りますが、削る%は小さいので、通常は術後カラーは不要で、術後も頚椎がグラグラになることはありません。早期社会復帰が可能な方法です。
後療法:術翌日から起き、歩行を開始します。カラーは不要で、10日~2週間後退院できます。

椎弓切除術

胸椎の場合は後方から椎弓を切除し、脊髄の後方除圧を行います。術翌日からキャンバス製のコルセットを装用し歩行可能で、手術後2から3週間で退院できます。

腰椎の手術療法

腰椎の手術療法には内側椎間関節切除術、椎間孔部開窓術、後側方固定術、後方侵入椎体間固定術があります。

内側椎間関節切除術 MF

腰部脊柱管狭窄症の時に行う神経除圧の方法です。高齢で下肢のしびれを伴う方では最も多い手術です。
不安定性がないと判断したときは除圧のみ施行します。背中側から骨・靭帯などを削り、神経の通り道を広げます。
具体的には関節を形成している下関節突起と上関節突起の一部を削ることで神経圧迫を解除します。
手術時間は30分から1時間位です。

椎間孔部開窓術 LF

腰部脊柱管狭窄症の中でも少し特殊な、脊柱管外側での神経圧迫を呈するときの神経除圧の方法です。
手技的には若干MFとは異なりますが、手術の創やリハビリなどは特に変わりません。関節の外側から骨・靭帯などを削ります。

後側方固定術 PLF

不安定性を伴う腰椎に対して行う固定術です。比較的不安定性の程度の軽い場合に適用されます。骨移植を行うことで骨癒合を図りますが、当院では1995年より自家腸骨を採取せず、神経除圧時の局所骨と顆粒状人工骨の混合骨で骨移植を行い、従来の方法と同等の成績を得ています。これにより採骨部痛の合併症がなくなりました。
またペディクラースクリューシステムという金属を用いて腰椎を初期固定します。この金属を使うことで術後のリハビリが早期に可能になりました。この金属は一般的にはそのまま入れっぱなしで、後で抜くことはしません。骨癒合には約4から6ヶ月位かかります。その間はあまり激しい運動などは禁止です。
骨癒合率は98%位です。手術時間は1時間30分位です。10年位の経過では10%程度が固定隣接椎間の狭窄や不安定性により再手術が必要になる方がいます。

後方侵入椎体間固定術 PLIF

不安定性を伴う腰椎に対して行う固定術です。比較的不安定性の強い症例や、分離すべり症など移植母床の少ない症例に行います。椎体間にケージという金属を挿入して、また後方にはペディクラースクリューシステムを挿入して椎体間の安定化を図ります。
前後に固定を行うので非常に初期固定性が優れています。分離すべり症の方の実際の術前後のレントゲン写真を掲載します。

sekitui

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